死亡退職金は相続財産に含まれるの?
死亡退職金
死亡退職金とは、公務員や民間企業の従業員の方が、在職中に亡くなった際に、雇用主たる官庁や会社から遺族に支払われる一時金のことを指します。
問題の所在
「受給者の固有財産」=「相続財産に含まれない」と認められれば、遺産分割手続きを経ずに死亡退職金を取得することができるため、相続財産にあたるか否かが問題となります。
法令や就業規則に基づき支給される死亡退職金は、相続財産にあたりません
法令や就業規則に基づいて死亡退職金が支給される場合、受給者たる遺族は、相続人としてではなく、これらの法令や就業規則等の定めにより、自己固有の権利として退職金を取得するものと解されます(最判昭和55年11月27日 民集34巻6号815頁)。
そのため、法令や就業規則に基づき支給される死亡退職金は、受給者の固有財産として扱われ、相続財産に含まれません。
理事会決議に基づき支給された死亡退職金は、相続財産にあたりません
法令や就業規則に支給規定がない場合、支給された死亡退職金の扱いが問題となります。
この点について、判例は、退職金支給規定の存在しなかった財団法人が、理事長の死に際し、理事長に対する死亡退職金支給を決定し、その妻に支払った場合、当該死亡退職金は妻個人に対して支給されたものであるとしました(最判昭和62年3月3日 家月39巻10号61頁)。
そのため、法令や就業規則に支給規定がない場合であっても、理事会決議に基づき支給された死亡退職金は、受給者の固有財産として扱われ、相続財産に含まれません。
参照記事
遺言書に関する疑問は「遺言書Q&A」をご覧ください。
相続に関する疑問は「相続Q&A」をご覧ください。
免責事項
当サイトで提供する情報等に関しては万全を期してはいますが、 その内容の全てを保証するものではありません。万が一、当サイトの内容を使用したことにより損害を被った場合に、当事務所では一切責任を負いかねます。本情報を利用するにあたっての判断は、ご自身の責任でなさいますようお願いします。
当サイトで提供する情報等に関しては万全を期してはいますが、 その内容の全てを保証するものではありません。万が一、当サイトの内容を使用したことにより損害を被った場合に、当事務所では一切責任を負いかねます。本情報を利用するにあたっての判断は、ご自身の責任でなさいますようお願いします。
関連ページ
- 法定相続人の範囲と優先順位は?
- 各相続人の法定相続分は?
- 相続人として不適切な行為をした人も、相続できる?
- 家業への従事や介護といった貢献は、相続の際に配慮されるの?
- 故人から受けた特別な利益は、相続の際にどのように扱われるの?
- 相続人のいない相続財産はどうなるの?
- 相続人の調べ方は?
- 相続財産がマイナスの場合、どうすればよい?
- 相続財産がプラスかマイナスか分からない場合、どうすればよい?
- 相続の単純承認、限定承認、相続放棄の違いは?
- 相続を単純承認するには、どうすればいい?
- 相続放棄は、いつまでに行えばよい?
- 相続財産が債務超過にある中で、大切な財産を守るにはどうすればいい?
- 相続の承認・放棄をするまでの間、相続財産の管理はどうするの?
- 生命保険金は相続財産に含まれるの?
- お墓、遺骨、位牌、香典の扱いはどうなるの?
- 相続人が複数いる場合、金銭債務はどのように相続されるの?
- 相続人が複数いる場合、賃料債権はどのように扱われるの?
- 相続財産の管理費用は、誰が負担するの?
- 葬儀費用は、誰が負担するの?