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葬儀費用は、誰が負担するの?

近時は喪主の負担とする裁判例が目立ちます

 故人の葬儀に要した葬儀費用をだれが負担するのでしょうか。葬儀社への支払いは喪主となる方が済ませていることが多いため、喪主から相続人へ葬儀費用の分担を求めることができるかが問題となります。
 この点については、裁判例、学説共に多岐にわたります。
 結論として、相続人の負担とする裁判例も少なくありません(仙台家裁古川支審昭和38年5月1日家月15巻8号106頁、神戸家明石支審昭和40年2月6日家月17巻8号48頁、東京高決昭和30年9月5日家月7巻11号57頁)。この立場は、慣習により相続人の負担とする考え方、慣習がいないので相続人の負担とする考え方、葬儀費用を「相続財産に関する費用」(民法885条1項本文)に含める考え方があります。
 これに対し、近時は、喪主の負担とする裁判例が目立ちます(甲府地判昭和31年5月29日下民集7巻5号1378頁、東京地判昭和61年1月28日家月39巻8号48頁、神戸家審平成11年4月30日家月51巻10号135頁、名古屋高決平成24年3月29日)。この立場は、慣習により祭祀主催者の負担とする考え方、祭祀財産の承継を相続財産から分離したことに対応して葬儀費用も喪主の負担と捉える考え方があります。

 

両者の違い

 葬儀費用を喪主の負担と捉えた場合、葬儀費用を支払った喪主は、他の相続人へ葬儀費用の分担を求めることはできません。他方で、喪主に代わって葬儀費用を立て替えた者は、喪主に対して、立て替えた葬儀費用の支払いを求めることができます。
 葬儀費用を相続人の負担と捉えた場合、葬儀費用を支払った喪主は、他の相続人に対して葬儀費用の分担を求めることができます。

 

香典は喪主への贈与として扱われます

 葬儀の際に参列者からいただく香典は、葬儀費用への充当という使途を定めた喪主への贈与と扱われています。そのため、喪主は、いただいた香典を葬儀費用に充てることができます。
 なお、葬儀費用に充てて残余があった場合も相続財産を構成することはありません。一般的には、今後の祭祀主催の費用(法事など)に充てることが多いようです。
【参照】お墓、遺骨、位牌、香典の扱いはどうなるの?

 

参照記事

 遺言書に関する疑問は「遺言書Q&A」をご覧ください。
 相続に関する疑問は「相続Q&A」をご覧ください。

 

 

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