相続とは
人は誰もがいずれ亡くなります。お金持ちの方にも、そうでない方にも、いずれ寿命は訪れます。
そのとき、「あの世に持っていけないもの」はどうなるのでしょうか?
「あの世に持っていけないもの」には様々なものがあると思いますが、「財産」については、原則として生きている人が引き継ぐことが想定されています。いわゆる「相続」です。
相続にはルールがある
「あの世に持っていけないもの」を生きている人が受け継ぐとしても、そこに一定のルールがなければ、新たな争いの火種となりかねません。
そこで、法律は、誰が、どの割合で引き継ぐのかといった最低限のルールを定めています。これを法定相続といいます。
また、このルールは、故人の「かわいい孫に教育資金を遺してやりたい」という意思を否定するものではありません。むしろ、故人の最期の意思表示を尊重する仕組みを整えています。これを遺言といいます。
このように相続には、法定相続や遺言といったルール、トラブルを避ける仕組みが設けられています。
しかし、このルール・仕組みもきちんと理解していなければ、不公平感を抱かせ、かえって相続争いにつながることにもなりかねません。
相続争いは「お金持ちだけの問題」ではありません
相続争いを「お金持ちだけの問題」と捉えていらっしゃる方は少なくないのではないでしょうか。
しかし、相続は大切な方を喪った哀しみの中で迎えます。どれだけ仲の良かった親子、兄弟姉妹も、深い喪失感やそれまでの介護の負担といった感情と無縁ではいられません。
現に家庭裁判所で扱われる遺産分割調停・審判のおよそ3割は、1000万円以下の相続財産を巡るものです。
もしこのHPをご覧になられている方が、ご家族よりも先に亡くなられる可能性のある方でしたら、お元気なうちに遺言書を作成されることを強くお勧めいたします。遺言書につきましては、コチラをご覧ください。
あるいは、このHPをご覧になられている方で、相続が身近に迫っていらっしゃる方は、このHPを転ばぬ先の杖としてご活用いただけると幸いです。
相続手続の流れ
相続の手続きを大まかに分けると、調査、相続の承認・放棄、分割、名義変更、相続税の納税の5つの段階に分かれます。
以下、簡単に概略を見ていきましょう。
1.調査
相続手続を始めるに当たり、(ア)相続人、(イ)相続財産、(ウ)遺言書の3点を調査する必要があります。
(ア)相続人の調査は、「誰が引き継ぐのか」の問題です。故人との身分関係いかんによって、相続人の範囲や相続分(相続割合)が変わってきます。
(イ)相続財産の調査は、「何を引き継ぐのか」の問題です。土地や建物、預貯金といったプラス財産だけではなく、借金や債務といったマイナス財産も相続の対象となるため、相続財産がトータルでプラスになるかマイナスになるかを判断するために、相続財産の調査を十分に行う必要があります。
また、遺言書がある場合、遺産の分割は原則として遺言書の内容に沿って行われるため、相続手続の方向性を定めるために、(ウ)遺言書の有無を調査する必要があります。
2.相続の承認・放棄(3か月以内)
相続するか、相続を放棄するか、という問題です。
相続財産がトータルでプラスの場合は、そのまま相続(=相続を承認)しても差し支えないでしょう。
では、資産よりも負債が多く、相続財産がトータルでマイナスの場合はどうでしょうか?
この場合、そのまま相続してしまうと、故人の相続財産で賄いきれない負債(=マイナスの部分)まで相続人(=相続した人)が支払義務を負うことになります。 そのため、相続人には「借金も含めて相続するか、相続を放棄するか」の選択権が与えられています。
仮に相続を放棄した場合、その方は最初から相続人とならかなったものとみなされるため、故人の借金を支払う必要はありません。
3.分割
相続財産をどのように分けるかという問題です。ここでは遺言書の有無が重要となります。
まず、遺言書があれば、基本的に遺言書の内容に沿って相続財産は引き継がれます。
他方、遺言書がなく、相続人が複数いるような場合には、誰が何を引き継ぐのかを協議によって定める必要があります。
仮に協議が整わない場合は、家庭裁判所に調停や審判を求めることになります。
4.名義変更
「3.分割」できまった内容分に沿って、各相続財産の名義変更を行います。
5.相続税の納税(10か月以内)
相続税を納税します。
【相続手続の流れ】
1.調査 |
・相続人の調査(誰が相続人?相続割合は?) |
---|---|
2.承認・放棄 |
≪3か月以内≫ |
3.分割 |
・相続財産をどのように分けるか? |
4.名義変更 |
・3.分割で決まった内容に沿って名義変更 |
5.相続税 |
≪10か月以内≫ |
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